神戸で開催されました第1回アジア生殖免疫学会のシリーズ報告の8回目になります。
以前にお伝えした通り、当院が発表したRepeated Implantation Failure(反復着床不全)のセッションの演題は4題でした。
座長は、奈良県立医科大学産婦人科の木村文則教授。
以下、プログラムから
Oral 4:Repeated Implantation Failure
Chair:Fuminori Kimura
Department of Obstetrics and Gynecology, Nara Medical University
O4-1 Evaluation of the tacrolimus treatment using euploid blastocyst for
women with repeated implantation failures showing elevated type-1
helper T (Th1)/Th2 cell ratios
Koji Nakagawa
Sugiyama Clinic Shinjuku
O4-2 The distribution of serum Th1/2 ratio and NK cell activity in patients
with recurrent implantation failure
Yihsien Enatsu
Hanabusa Women’s Clinic
★O4-3 Evidence for Correlation between Novel Autoantibody against
Phospholipid Named Neoself Antibody (β2GPI/HLA-DR) and Complement
Consumption in Infertile Patients
Hirotaka Matsumi
Matsumi Ladies Clinic Mita
O4-4 Does intrauterine infusion of PRP affect the window of implantation?
Kunihiro Enatsu
Hanabusa Women’s Clinic Nishnomiya
第1回アジア生殖免疫学会(8)では、当院と同じセッションで発表された「The distribution of serum Th1/2 ratio and NK cell activity in patients with recurrent implantation failure」という演題のNK cell activity(NK細胞活性)について、もう少し掘り下げて解説してみます。
さて、NK細胞(NK cell activity:ナチュラルキラー細胞)とはなんでしょう。
ナチュラルキラー(Natural Killer)細胞は、免疫を担当しているリンパ球(=顆粒リンパ球)の一種です。
NK細胞活性は、採取した血液からリンパ球を分離し、一緒に培養した細胞がNK細胞の細胞障害作用によって溶解し、細胞内から遊離した(標的)物質の量を測定することで調べます。
NK細胞機能異常を伴った不育症あるいは着床不全症例に対する治療のエビデンスはまだまだ不十分です。
当院では、着床不全・不育症とNK細胞活性に関する臨床研究を行っています。
ひとりひとりの患者さまを丁寧に診療し、個々の症例の臨床データーを解析することにより、医療の進歩に少しでも貢献したいものです。
現在、NK細胞機能異常を伴った不育症あるいは着床不全症例に対して、新たに、免疫グロブリン療法およびイントラリピッド療法を行う準備も進めています。
免疫グロブリン療法やイントラリピッド療法については、また、機会があればご紹介いたします。