看護スタッフです。
今回は卵子凍結についてお話します。
卵子凍結とは受精前の卵子を凍結することです。
受精後に凍結する受精卵凍結と混同されてしまうことがあります。
適応には2種類あります。
●医学的適応
悪性腫瘍治療等、医学的介入により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合は、妊孕性温存を目的として卵子を凍結することができます。
希望者が成人の場合は本人の同意に基づき、また未成年の場合は本人及び親権者の同意に基づき未授精卵子を凍結、保存することができます。
●社会的適応
加齢等の要因により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合は本人の同意に基づき未受精卵子を凍結保存することができます。
凍結保存の対象者は成人女性で、未授精卵子の採取時の年齢は40歳以上は推奨されておりません。
また、凍結保存した未受精卵子の使用年齢は45歳以上は推奨されておりません。
●その他
※1) 非閉塞性無精子症患者のパートナー
※1)非閉塞性無精子症とは、精子の通り道は正常ですが精巣での精子形成が低下しているため精子が出てこない状態をいいます。
採取された精巣精子が採卵卵子より少ない症例があることや凍結精子を用いた妊娠成績が低く成熟卵子の※2)ガラス化凍結・融解後の生存率が高いことにより卵子凍結の需要が高まっているとされています。
※2)ガラス化凍結法とは・・・
細胞内の水を凍結保護物質と呼ばれる物質を含む溶液で置換し、浸透圧差を利用して細胞を脱水させます。
凍結保護物質が分子同士の間に割り込むことで氷晶形成が阻害され、卵子や胚はそのままの状態で一気に−196℃という超低温の液体窒素に浸漬されます。
このように、その物質が液体のまま流動性を失った状態をガラス化といいます。
卵子凍結は適応の違いはありますが、医学的適応も社会的適応も行うことは共通しています。
卵子凍結はあくまでも万が一の時の保険です。
卵子を凍結しているからといって絶対妊娠するとは限りません。
また、東京都では健康な女性の卵子凍結(社会的適応による卵子凍結)支援に向け調査に協力した人に凍結費用の助成や協力金を含めた30万円を支援するとしています。
詳しくは東京都のホームページをご覧ください。
※参考文献:生殖医療の必修知識