朝はつとめて
11月19日の日曜日はMINATOシティハーフマラソンが開催されまして、クリニックの近くでも早朝からスポーツウェアを着込んだ市民ランナーや大会関係者の方がチラホラ見うけられました。
この日はたまたま大学のテニスサークルの仲間との早朝テニスも企画されてまして、こちらもテニスウェアの上にジャンパーを着込み、いそいそとコートに向かう途中、スポーツウェア姿の医師会でお世話になっているF先生にばったり遭遇。
わたしはテニス、F先生はハーフマラソンです。
早朝はテニスからの折り返しの午後からは大事な母体保護法指定医師研修会があります。
帰宅途中にマラソンランナーを応援し、東京都医師会館へダッシュ。
お茶の水は学生街で活気がありました。
講演は、1.母体保護法の趣旨と適切な運用、2.医療安全、3.生命倫理、の3つから構成されていました。
この中の最後の3.生命倫理に関する講演が一番面白かったです。
3.生命倫理に関するものは、NIPTと胎児治療についての話題で、演者は国立成育医療研究センター遺伝診療センター長の左合治彦先生でした。
以下、ポイント解説致します。
難しい単語が沢山出てきますが、単語の解説はまたの機会のお楽しみです。
先天性疾患の母体年齢別発生頻度はNIPTが現在ターゲットにしている13、18、21番染色体異常に起因するものは29歳から41歳まで3歳毎に2倍ずつ増えて、概ね0.1%から、0.2%、0.4%、0.8%、1.5%まで上昇する。
それ以外の染色体異常は0.13%から、0.25%、0.5%、1.0%、2.0%とこれも概ね3歳ごとに2倍の割合で増える。
がその他の原因による先天性疾患は3%で変わらない。
したがって、29歳から41歳では3.13%から5.0%の上昇幅であり、NIPTは一部の先天性異常を検出しているだけで万能の検査ではない。
遺伝子検査はマイクロアレイ解析、全エキソーム解析(全エクソーム解析)、全ゲノム解析になるにつれ、疾患の原因となるバリアントを検出する確率が増える。
例えば、胎児水腫の患者の全エキソーム解析をすると全体の30パーセントの方で遺伝子のバリアントの異常を検出することが可能である。
現状行われている(13、18、21番染色体およびX、Y性染色体をターゲットにした)NIPTでは簡単には染色体異常はみつからないので、今後、小児・周産期ゲノムエキスパートパネル検査のようなものが開発されることが期待されている。
出生前診断は胎児治療には不可欠の要素で、双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー凝固術や脊髄髄膜瘤に対する胎児手術が実用化されている。
脊髄髄膜瘤では、羊水に触れた神経組織がダメージを受けるとともに、水頭症や小脳ヘルニアを併発することがある。
脊髄髄膜瘤の修復手術により羊水による神経障害を予防することは、小脳ヘルニアを改善するとともに神経機能を改善することを通じて、小脳が司る運動機能を保つことにつながる。
朝は冷え込むようになってきました。
寒さに負けず、テニスにジムに、フレイル予防につとめて、つとめて。